春の陽気に包まれ、新生活が始まる4月は期待と緊張が高まる月です。
期待と緊張が入り混じるこの季節を乗り越えたあと、ふと感じる疲労感ややる気の低下。
そんな心の揺らぎを「五月病」と呼びます。
 
五月病は単なる気分の落ち込みではなく、環境の変化に適応しきれなかった心身のSOSサインとも言えるでしょう。
 
今回は、五月病の原因や症状、そして暮らしの中でできる対策についてご紹介します。
 

五月病とは？

五月病は正式な医学用語ではありませんが、主に新生活・人間関係のストレスによって自律神経や心のバランスが乱れ、心身に不調が現れる状態を指します。
 
4月に新しい環境に飛び込んだ方々は、知らず識らずのうちに心や体に負荷がかかっています。
その緊張が一段落した5月に、反動のように現れるのです。
 

こんな症状は五月病かも？

五月病の症状はさまざまです。
以下のような症状がある方は、五月病を疑った方がよいかもしれません。
 

• 朝起きるのがつらい、布団から出られない
• 食欲がない、または食べすぎる
• 眠れない、または寝すぎてしまう
• 仕事や家事に集中できない
• 気分が落ち込みがちになり、涙もろくなる
• 倦怠感が消えない
• 学校や会社を辞めたくなる、行きたくなくなる　など

 
心の疲れは身体の不調として現れることも多く、「なんとなく元気が出ない」「睡眠をたっぷり取っても疲れが消えない」などと感じる場合には、五月病の可能性があるでしょう。
 

五月病の原因を知っておこう

五月病には原因があります。
原因を把握しておくことで、五月病は予防できる可能性があります。
 

• 環境の変化によるストレス

新しい職場や学校、引っ越しなどの環境の変化は、想像以上にエネルギーを消耗します。
知り合ったばかりの方との人間関係の構築や、ルールへの適応に疲れてしまうのです。
 

• 自律神経の乱れ

春から初夏にかけては寒暖差が大きく、気圧の変化も激しい季節です。
これが体内のリズムをつかさどる自律神経に影響を与え、心身のバランスが乱れやすくなります。
 

• 真面目な性格や責任感の強さ

完璧を目指したり、他人の期待に応えようと無理を重ねたりする方ほど、五月病になりやすい傾向にあります。
自分を後回しにしてしまう習慣が、知らず識らずのうちに負担となるのです。
 

心身を守る五月病対策

五月病かもしれないと感じたときは、自愛してあげてください。
無理をすると身体を壊してしまい、取り返しがつかないことになる可能性もあるのです。
 

• 休むことを恐れない

真面目な方ほど、頑張らなくてはいけないと自分に鞭を打ってしまいがちです。
しかし、心が疲れているときは、しっかり休むことが最優先。
仕事や家事は少し手を抜いて、自分を責めずに労わってあげてください。
 

• 規則正しい生活を取り戻す

起床・就寝時間を一定にたもったり、朝日を浴びる習慣をつけたり、1日3食を意識して偏食を避けたりすることは、規則正しい生活に必要なことです。
特に朝の光は、体内時計をリセットし、自律神経を整えるために重要です。
 

• 軽い運動や散歩を習慣に

運動不足は気分の落ち込みを助長します。
運動は、滝のように汗をかく激しい運動ではなくても問題がありません。
朝や夕方の涼しい時間帯に、10〜20分ほど散歩をするだけでも効果があります。
 

• 心にゆとりを生む簡単ルーティン

朝はコップ1杯の水を飲んだり、窓を開けて新鮮な空気を取り入れたりすることで、気分がリフレッシュします。
また、キッチンや洗面所の鏡を拭いたり、週に1回はバスタブを丁寧にお掃除することも、リフレッシュに効果的です。
 
これらはすべて、心のコンディションを整える小さなステップです。
「自分を大切に扱っている」という実感が、五月病の予防に大きな意味を持ちます。
 

お風呂時間で心と体をリセット

五月病対策に有効なのが、お風呂時間です。
 
湯船につかることで、副交感神経が優位になりリラックスでき、体が温まり冷えやだるさが緩和します。
また、血行促進により、疲労物質が排出されやすくなるでしょう。
 
38〜40℃のぬるめのお湯に10～15分つかるだけでも、睡眠の質が向上し、心が穏やかになります。
さらに、香りのよい入浴剤やお気に入りの音楽を取り入れれば、癒し効果が向上します。
 
忙しい方ほど、意識的にお風呂で休むことがおすすめです。
 

キッチンなどの水まわりの環境も心に影響する？

意外に思われるかもしれませんが、キッチンや洗面所などの水まわりの乱れは、心のモヤモヤと直結していることがあります。
 
キッチンを整えることで食事の準備がしやすくなり、栄養バランスが整い、食欲が戻り、自然に体調が上向きます。
片付いた空間にいることで、ストレスは軽減されるのです。
 
そのため、朝の準備をする洗面所が整っていることでも、気持ちよく1日をスタートできます。
 
気分が沈みがちなときこそ、身の回りの水まわり環境を整えてみてください。
水まわりを快適に保つことが、暮らし全体の質を高めることにつながるのです。
 
忙しい毎日の中でも、キッチンや洗面所といった水まわり空間を整えることで、自分自身の気持ちにもゆとりが生まれます。
 
ちょっと疲れたなと感じたときこそ、まずは水まわりを見直してみてください。
 

五月病は誰にでも起こりうる

五月病は、頑張っている方ほどなりやすい心の不調です。
決して「弱い」わけではありません。
誰もが五月病を発症する可能性を秘めているのです。
心身の不調を感じたときは、自分を労わる生活を始めてみてください。
 
また、自分だけでの解決が難しいと感じた場合には、心療内科などの医療機関の受診もご検討ください。
信頼できる方に胸のうちを打ち明けるだけでも、心が軽くなることがあります。